自分たち以外誰もいなくなった教室でプラスドライバーを弄びながら「昨日観たやつでさぁ、これで穴開けてんのあってな」と大和が言った時点で何をされるかだいたい分かってしまった。いい?と聞いてはくるけど俺の返事などどうでもいいのだろう。その証拠に大和はもう消毒を始めていた。「動くなよ」優しく頬を撫でる手の感触と、目尻に触れる唇の柔さに心臓が高鳴る。そして大和の指が耳へと触れたと思った途端、とんでもない痛みが走った。「い"っ、ぐぅ……!」痛みと共にじくじくとした熱が侵食してくる。ぼろりと涙が落ちても大和は手を止めない。「もう少し」俺の耳朶に突き刺さっているのであろうドライバーをゆっくりゆっくり、焦らすように押し込めてくる。痛い、堪らなく痛くて、でも、「はっ、ぁ、んんっ」ぞわぞわと背中を這い上がってくる快感に声を堪えきれない。「抜くぞ?」ちゅうっと涙で濡れた目尻にまたキスをしてきた大和が囁くような声でそう言って、乱暴にドライバーを引き抜いた。泣き喘ぐ俺を「かわいい」と笑うその目には獰猛な光がちらついている。きゅうっと目を細めて赤い舌で唇を舐めるその仕草に、今度は何をされるんだろうと心臓が忙しなく動く。「結構デカいな」開いた穴に指を這わせ容赦なく爪を立て、「ん、ぁあ"、!」首筋を伝い落ちていく血をべろりと舐めあげる。何度も大和の柔らかい唇を押し付けられ、くすぐったさに身を捩ればくつりと喉の奥で笑った大和が耳朶に噛み付いた。傷口をぎりぎりと歯で抉り、舌で確かめるようになぞって、また歯を突き立てる。耐え切れず俺の肩を掴む大和の手首を握り締めると一段と噛む力が増して、そのまま噛み千切られてしまいそう。与えられる痛みの気持ちよさにいよいよ我慢出来なくなりびくびくと体が震え、あと少し、というところでぱたりと刺激が止んだ。す、と離れた大和がなんで?て顔をしている俺を見下ろしにこっと笑う。「じゃ、また明日な」鞄と上着を手にさっさと教室を出て行った背を呆然と見送る。酷い、こんな状態で放置だなんて!
rewrite:2022.02.23