何事にも終わりはある。永遠なんてものが存在しないものなんて誰だって知っていることだ。私だってそんなこと解っている。解り過ぎるほどに。でも、だからこそ永遠を信じ、求め、追い縋るのだ。偶然に偶然が重なり奇跡が起こって、私は大和の隣を手に入れた。運命と呼ぶにはあまりにも頼りなく、あまりにも細すぎる糸が私と大和を繋ぎ、結んでくれた。今にも切れてしまいそうなそれを必死に守り続けてここまできたけれど、きっともう、終わりは近い。柔らかい朝日に照らされ淡く輝く大和にそっと息を吐いた。白くすべらかなその頬に触れ輪郭を辿るように撫で下ろす。辿りついた柔い唇を指先でなぞり、また息を吐いた。この唇はいままで一体どんなの人間に愛を囁いてきたのだろうか。そしてこれから、誰に愛を囁くのだろう。「ん、?」ふるりと長い睫毛が震え、ほどける。現れた海色の瞳が私を捉え、優しく細められた。溜め息が出るほど美しい笑みに胸を撃ち抜かれ息すらままならない。彼の全てが私を狂わせる。その蠱惑的な瞳に見つめられただけで愛を叫び、どうか愛してくれと縋り付きたくなる。「おはよ」甘く掠れた声にも、眠たげな瞬きにも欠伸を噛み締めるその姿にさえも、胸が締め付けられ眩暈がしそうだった。ああ一体、どうすればこのまま彼の隣に居続けられるのだろう。無防備なその姿をもう誰にも晒してほしくない、私にだけずっと見せていてほしい。けれどそれが無理な願いだとは解り切っていた。解り過ぎる、ほどに。だってもう、終わりは近いのだ。彼は私に対する興味を失くし始めている。彼と繋がってしまった時点でもう終わりは見えていたのだ。永遠なんてものは存在しない。大和の場合は尚更だ。彼の中には“一瞬”しか存在しない。「大和」でも私は永遠を信じ、求め、追い縋る。「なあに?」私は彼の隣に居続けたい。ずっとずっと、私が、もしくは大和が死ぬそのときまで。「あいしてます」だから、離れてしまうなら、“一瞬”で終わってしまうくらいなら、いっそ、
rewrite:2022.02.14