スパンコールを分解できない


今日の食堂はやけに混んでいる。がやがやと騒がしい声をなんとなく聞きながら食券を購入し、受け取り口へ並んだ。
中で忙しなく動いている人々をぼうっと眺めていたとき、ふとテツヤくんも今日は食堂だと言っていたことを思い出した。
一緒に食べようと誘っておけば良かった、勿体無いことしてしまったな。きっと彼はバスケ部の人たちと居るのだろう、あの中に入っていけるほど僕は彼の周りの人と交流はないから見つけても一緒には食べられない。
おばさんからオムライスとサラダを受け取り、座れそうな席を探す。座れるところはあるにはあるのだろうけど、如何せん人が多くてなかなか見つけられない。
ゆらゆらとあちこちに視線を飛ばし開いている席を探していると、やけに目立つグループが目に入った。バスケ部だ。一際騒がしいし間違いない。
あの中にテツヤくんもいるのかと思ったけれど、あの特徴的な美しい髪はその中に見当たらない。一緒じゃないのだろうか。皆やたらと大きいから隠れて見えないだけなのかと、人や席の合間を縫って開いてそうな場所へ向かいながらその騒がしいテーブルに目を向けてみるけれど、やっぱり見つからない。
一緒じゃないんだ。もしかしたら一緒に食べられるかもしれない、と気分がふわっと浮き上がる。一度立ち止まってざっと辺りを見回した。人が多いけど大丈夫、見つけられる。

「テツヤくん」

ああ、ほら。
窓際の席でひとり静かに箸を進める彼を見つけた。日に当たって透けた髪がきらきらと光っていて、彼の周りだけ少し浮かんで見える。

「……君」

ちょっとだけ目を丸めて、吃驚しましたと言いながら彼は箸を置く。

「ここで食べてもいい?」「どうぞ。よくわかりましたね」
「うん、テツヤくんなら僕は何処ででも見つけられる自信あるよ」
「それはまた」
「だって好きな人って輝いて見えるっていうでしょ?」
「……確かにそうですね」

少し照れたように頬を赤らめて笑う。こんなに綺麗な人を見つけられないなんて、皆随分と勿体無いことをしているな。

rewrite:2022.03.08