もっと丁寧に息をして


▼ レオーネ・アバッキオ

「レオ、レオーネ」

ふふ、と笑み交じりに何度も名前を呼ばれ、頭や頬を撫でられる。すぐ隣にカウチソファがあるっていうのに、俺も大和も一人掛けのソファから動かない。
膝の上に跨った彼は、愛おしくて仕方がないといわんばかりに蕩けた目で俺を見つめながら、何度もスタンプでも押すように顔中にキスをしてくる。それからちゅうっと音を立てて俺の唇に吸い付いた。上唇を吸ったかと思えば、やわやわと下唇を食んで舐めて、また食んで。
それは俺が催促するように口を開けて、大和の見た目よりもずっと柔らかな唇を舌でつつくまで続くのだ。そうしてようやっとぬるりと入ってきた彼の舌が我が物顔で口内を荒らす頃には、もう俺は何も考えられなくなってしまう。
別段キスが特別上手いとかいうわけではないと大和本人は言っていたけれど、俺はいつだって彼にキスされるとぐずぐずの骨抜きになってしまうのだ。

「っはあ、……可愛い、レオーネ、目がうるうるしてる」

どちらのものかわからない唾液でぬらぬらと光る唇を舐める彼の目が捕食者じみた光を放っていた。
頭がぼうっとして、自分が今どんな顔をしているのか分からないけれど、きっとだらしない顔をしているのだろう。

大和、もういっかい」

思っていたよりも舌足らずで、甘えたような響きになってしまった自分の声が少し恥ずかしい。

「レオって結構キス好きだよな」

目尻や眉間に甘やかすようなキスをされながら、

「アンタのキスは、なんかヤバいんだよ」

と答える。
大和のキスは、これでもかというほど愛が詰まっていると思う。なんてそんなクサくてこっ恥ずかしいことは絶対に死んでも本人には伝えられないけれど、彼のキスは頭がくらくらするほど甘くて、心底自分のことを大事に思ってくれていて、世界の誰よりも愛してくれているのだとよくわかるのだ。
日々磨り減り空っぽになっていく場所が満たされていく、そんな感じがする。

「ふは、なんだよそれ」

くすくす笑って俺の頭を撫でながら、大和はまた俺の唇を食んだ。

rewrite:2022.02.16 | アバッキオくんの魅惑の唇をみているとキスの話しか考えられません