ぬるい木漏れ日


▼ レオーネ・アバッキオ

「お前、アバッキオを年端もいかない子供か何かだと思っていないか」

アバッキオにせっせと料理をとりわけ、時折美味しい?と尋ねては返される答えに嬉しそうに目元を緩め、時折零れ落ちてくる長い髪を耳にかけてやり、飲み物が無くなれば注いでやり……と忙しなくアバッキオの世話を焼く目の前の男、大和に、ブチャラティは耐えきれずにフォークを置いた。

「えっ」

大和はブチャラティの言葉に目を丸くしきょとんとした顔をしているし、アバッキオも何故か不思議そうな目をしている。二人は目を合わせ、少しだけ首を傾け、それから揃ってブチャラティを見た。
なんなんだ、こいつら、これが普通なのか?とブチャラティはそこはかとない不安感を抱いてしまう。

「レオーネはもう子供じゃないけど」
「そうだな、見ればわかる」

眉を下げ何が言いたいのだ、といわんばかりの顔に、ブチャラティは少しだけ頭が痛くなる思いだった。
ブチャラティの知る大和は自分とは四つしか年は違わないのに何でも知っていて自分に色々と教えてくれる、仕事も出来る頼れる男だ。彼にとっての大和は兄がいればこんなものだったろうか、と時々考えてしまうような存在だった。
そんな密かに尊敬していた人物が、過保護なママみたいなことをしている。それも、自分より年上の同僚に。
それはなかなかにショッキングな光景だった。

「そこまで世話を焼かなくてもいいんじゃあないのか?まるで母親みたいだ」

肩を竦め、そう言ったブチャラティにアバッキオは我関せずといった風にパッパ・ポモドーロを食べている。
おい、今お前の話をしてるんだぞ、とブチャラティは目を細めた。

「そりゃあ俺も時々、ママかよって思うけど」
「けど?」
「レオーネってなんか世話焼きたくなるような空気発してない?なんか、なんかさあ……」

もごもごといつもは言わなくていいことまではきはきと元気よく話す彼にしては珍しく、歯切れが悪い。

「俺の無いはずの母性が刺激される……」

また垂れてきた髪を耳にかけてやるついでにするりとアバッキオの頭を撫でた大和に、ブチャラティはそうか、と力なく返事をして深い溜息を吐いた。

rewrite:2022.02.16 | アバッキオくんかわいいねっていう話です