ある日のお茶会


はたから見ても双子と分かる顔をした彼らは、それでも全くの別人、別の個体であるとはっきりと分かるほど違う。
コウと名乗った双子の兄の方は穏やかで柔らかな顔立ちと雰囲気だが、セイと名乗った弟の方はキリリとしたシャープな顔立ちでどこか威圧感のある、上に立つものならではのような雰囲気を纏っていた。
二人とも話してみればとても付き合いやすい人間だと分かるが、それでもどことなく話しかけづらい空気はある。容易に話しかけてはいけないような気がしてくるのだ。それはヴィルやレオナに対するものにも少し似ているかもしれない。

「どうぞ。これは砂糖を入れなくても甘いから、よかったらストレートで飲んでみてくれ」

紅茶を淹れたカップを差し出す手が微かに震えていた。
ひどく緊張している。こんなに緊張しているのはいつぶりだろうか。

「ありがとうございます」

四つの宝石の瞳が一斉に俺へとむけられ、穏やかな弓なりになった。

「ああ、良い香り……トレイ先輩は紅茶を淹れるのもお上手なんですね」
「薔薇みたいな香りがする」

日の光にきらきらと輝くそれらは見惚れるほどに美しい。

「ああ、ローズティーだよ。ウチの寮の特製品だ」

白い指が華奢なティーカップを持ち上げる。花びらの唇がカップで歪み、その柔さを伝えてくるようでさっと目をそらした。
ド、ド、と勢いよくなる心臓にどうか顔が赤くなっていませんようにと祈らずにはいられない。じっとりと汗ばむ手をこっそりと拭ってから皿を手に取り、

「二人は何が食べたい?」

とテーブルにいくつも並んだホールケーキたちを指し示した。

「甘いものが苦手ならキッシュも用意してるから、遠慮なく言ってくれ」
「なら遠慮なく……俺はあのイチゴタルトを。セイは?」
「僕はあのキッシュを食べてみたいです」

コウにイチゴタルトを、セイにツナとブロッコリーのキッシュを手渡すと二人は嬉しそうに笑い、俺へ揃っていただきますと言った。

「ああ、好きなだけ食べてくれ」

2022.08.11