悪い子のためのパレード


※前話のつづき

「征十郎クーン」

どれくらい経ったのか、映画はもうエンドロールが流れていた。俺のかわいいかわいい征十郎はソファにぐったり身を横たえ、細い息を吐いている。
ああ、かわいい、かわいくって仕方がない。

「はあ、かわいい、征十郎」

熱を持ち腫れてきた頬を撫で、瞼やら口やら鼻やらあちこちから流れる血を拭う。拭った先から血が滲むからあんまり意味はないのだが。身動きが取れないよう跨り伸し掛かったまま、傷だらけの顔にちゅっちゅと音を立てながらたくさんキスを落とす。
切れた唇にも触れれば痛かったのかびくりと押さえ込んだ体が震えた。はあっと吐き出した息が熱い。
痛みに体を震わせる征十郎があまりにかわいくてかわいくて、その傷を抉るように舌を這わせながらほっそりとした首筋に両手をかける。
ゆっくりと締め上げながら、熱を持った口内に舌を差し込んだ。血の味がする口内をくまなく舐っているだけでもう頭がぐらぐらするほど気持ちがいい。
次第に抵抗が増していって、がぶっと舌を思い切り噛まれてしまった。仕方なしに舌を引き抜いて首から手を離せば、苦し気に咳込み喘ぎながら征十郎は必死に息を吸う。
きっと痣になる首筋の手形をじっと見つめながら、次第に口内に溜まっていく自分の血を一度飲み込んだ。随分深く噛まれてしまったのか、じくじく痛む舌からは血が溢れてくる。
顔を近付ければ、また絞められると思ったのか、

「ゃ、やめてくれ、ごめ、なさい、」

と息も絶え絶えに弱弱しく掠れた声で言ってくる。何度も謝罪を口にする征十郎の唇の上へ、ベッと出した舌からとろりと血混じりの唾液を落とせば、怯えて震える眼差し。
かわいいかわいい征十郎。
両手で頬を包んで固定しじいっと覗き込む。

「こんなんなってもかわいいんだもんなあ、征十郎は」

俺の血で汚れた唇へまた唇を重ねて、強引に歯列を割り舌を捻じ込んでじわじわ溢れる血をその口内へ流し込んでいった。
俺の血と征十郎の血が口の中で混ざり合って、溶け合っていく。
しっかりそれを征十郎が飲み込んだを確認してから口を離せば、赤い宝石の瞳からころりと涙がひとつ流れていった。

rewrite:2021.12.25 | 「しなやかな罪の色合い」の続き。ツイッターでもだもだいってたネタ