夜更けのブーケ
※赤司くんの双子兄主人公
※赤司くんが洛山の学生寮に入ってる
着々と針を進める時計を見上げて、携帯を見る。
いつ電話をかけようか。まだこうして離れ離れになる前、中学生の頃は二人一緒にベッドに寝転がって時計を見つめながらなんてことない会話をして、日付が変わったらお互いおめでとうと言って少しだけ話をしてから共に眠っていた。
でも今は一緒にベッドに入ることも眠ることも出来ない。ぱたりとベッドに寝転がり目を閉じる。
ああ皇に会いたい。最後に会ったのは夏休みで、後はずっと電話かメッセージのやり取りばかりな上にそれもお互いに忙しいせいで頻繁には出来ない。皇も洛山に来れば良かったのに。そうすればいつも一緒にいられるしこんな思いをしなくてすむ。それに、おめでとうと言って抱きしめることも出来るのに。
何度目かわからない溜め息を吐いたところで、通話アプリを立ち上げる。ぐだぐだ考えたって仕方ない、会えないものは会えないのだ。
一番上に表示された名前をタップすればコール音はするものの、一向に繋がらない。忙しい彼のことだ、もしかしたら疲れて寝てしまっているのかもしれない。発信を切り沈んだ気分のまま枕に顔を埋める。
もうさっさと寝てしまおうと布団に包まって、気分を静める様に深く息を吐いたところでなにやら外が騒がしくなってきた。小太郎の騒がしい声と、窘める玲央の声。
何かあったのかと体を起こしたそのとき部屋の鍵が回った。
「えっ」
ばん、と勢いよくドアが開けられ、その向こうに会いたくて仕方がなかった彼が立っていた。
「間に合って良かった、電話ごめんね」
「……皇?」
「うん」
にっこりととびっきりの笑顔を見せた彼に鬱々としたものが消し飛んでいく。
「おいで、征」
広げられた腕に誘われるまま思い切り抱きついた。ああ皇だ、本物だ。
「何でいるの、明日学校は?」
ぎゅうぎゅうと抱きしめながら聞けば、何てことないとばかりに「あるよ」と返ってきた。
「あるけど、征に会いたかったから来た。それに征に一番に誕生日おめでとうって言わないと」
また来年も会いに来るから、と言う彼に、今度は僕が会いに行こうと決めた。
rewrite:2021.12.13