君が連ねたひかりたち


猫が死んでいた。
バスケ部の朝練は早く、ひんやりとした朝靄が漂う街路はまだ眠っているように静かだ。いつものようにまだ目覚めていない家に小さな声で行ってきますと告げ、歩き始めた道の真ん中に見知らぬ鳥が二羽止まっていた。
引っ切りなしに、更紙を裂くような声で叫ぶように鳴いている。その鳥のすぐ傍に何か黒い塊があった。ぎゃあぎゃあと明朝の静かで穏やかな世界をぶち壊すその声に少し眉を寄せながら、真っ直ぐ鳥たちへと近付く。
黒い塊だと思っていたそれは、まだ小さな子猫であった。押し潰されたようにひしゃげてしまった小さな体に、たまらなく悲しくなる。
俺が近づくと途端に黙り飛び去ってしまったあの鳥たちは、この哀れな子の存在を知らせてくれていたのだろうか。重い塊をぐっと飲み込んでなるべく大きなタオルを選び、そっと子猫を包んだ。
この子はきっと、昨日の雨が降りしきり中でいってしまったのだろう。血の跡も何もかも雨で流されてしまったのか綺麗なものだった。
冷たいタオルを胸に抱え、打って変わって憂鬱な色に染まった道を歩く。
この子をどうしよう、どこに埋めてあげるのがいいのだろう。この辺の公園はどこも綺麗ではないし花もない。そのままどこがいいのか決まらずに校門が見えてきた。

「今日も早いな、瀧川

朝靄のように透き通ってひんやりとした声と共に赤が視界に映った。

「赤司」

俺のざらざらと掠れた声に赤司は眉を寄せ、隣に並ぶ。

「……何かあったのか」
「猫がいたんだ。まだ子供だった」

たったそれだけでも聡過ぎる赤司は俺の表情と手の中のものから答えを導き出してしまう。そうかと静かに頷いた赤司は、学校の裏庭に埋めてあげればいいと優しく笑った。

「あそこは花がたくさん咲く。鳥もよく来ているから寂しくないんじゃないか」
「うん」

そうして訪れた裏庭は確かに多くの花が咲き乱れていた。

「綺麗だな」
「そうだね」

先程見たあの鳥たちが、花々の中に出来た小さな丘を見て、美しい鳴き声を落として通り過ぎて行った。

rewrite:2021.12.12