指先の支配者
※アホのような探偵パロ
現実の探偵なんてもんは浮気調査だのペット探しだのが主な仕事だと思っている人間が多いようだが、実際は小説と似たようなもんだ。むしろヤバいことのが多い。
現実は小説より奇なり、今回征十郎が持ってきた仕事はどっかの豪邸の密室殺人事件である。なんてありきたり、しかも犯行時間およそ三分の不可能犯罪ときた。そんな短時間で出来ることといえばせいぜいカップラーメンを作ることぐらいだろよ。
「よう征十郎」
「ああ大和、遅くに呼び出してすまないな」
「いーえ、刑事様のお呼び出しですから」
なははと笑えば赤司も少しだけ笑んで、事件の説明が始まった。まあそんなもん現場を見れば分かるんだが、征十郎が説明したそうなので聞いてやる。
ああ俺はなんて慈悲深い、最早キリストの生まれ変わりでは?
「以上だ」
「オーケイ、すぐ片付ける」
赤司は少しだけ笑って、その辺にいる奴らは好きに使ってくれと言ってどこかへ消えた。それを見送りすぐさま自分の仮説が正しいか検証しようとした矢先、騒がしい音が近付いて来る。
「大和さん来てたんスね!」
それを皮切りにどやどやとその辺にいる奴ら基征十郎の部下共が集まってきた。
俺の傍にやってきたそいつらは毎度の如く俺の傍でキャンキャン吠えて喧しい上に、あっちも見てこっちも見てと連れて行こうとする。
「ああもう、馬鹿はだぁってろ!散れ!」
そこで黙ってじっとしてるってことができないやつしかいないのか本当に!馬鹿に出来ることと言えば黙って座ってることくらいなもんだろうに!
「大和」
苛立ちに歯軋りしながら振り向けば、淡い笑みを携えた征十郎が缶コーヒーを差し出してきた。
「お前んとこの部下いい加減殺していいか」
「悪い子達じゃないんだ、許してやってくれ」
そういう赤司の背後でもまだ馬鹿騒ぎしている。全く犬のほうがよっぽど賢い。
「それで、まとまったか」
「当たり前だろ、俺は名探偵様だぜ?」
こんなクソつまらん事件、すぐに解決、である。
rewrite:2021.12.12