ダイヤモンドのままごと
なんて美しいのだろう、溜め息を吐いてしまう。
完璧な骨格の上に成り立つ優艶なる彫刻の貌。シルクの肌にそうっと指を滑らせれば、くすぐったそうに小さな笑い声を零す柘榴の唇。じっと見上げてくるルビーとトパーズの瞳はこの世の何よりも美しい輝きを放っている。こうしてずうっと見つめ合って触れていたい。
この人はきっと神様が造りだした最高傑作なのだ。
「ねえ、本当にいいの?」
こんな素晴らしい芸術品が僕のものになるだなんてまだ信じられない。
「ああ。僕は君のものだよ」
嗚呼、嗚呼!天にも昇る気持ちとはこのことを言うのだろう!夢みたいだ、本当に。
けれどこれは夢でもなんでもない現実なのだ、と、朝日に照らされ淡く煌めく彼の寝顔を目にして漸く飲み込んだ。
うっとりしてしまう。どうしてこんなにも美しいのだ、罪だ、犯罪だと心が暴れ、小さな呻き声が漏れる。
ぴくりと嘘みたいに長い睫毛が微かに震えた。あ、と思ったときにはうっそりと持ち上げられ、その向こうに隠されていた宝石が顔を出す。僕を見つめ、天使のような微笑を浮かべた彼にくらくらと眩暈がした。
「おはよう、薫」
甘いのにさらりとしたミルクの声にふわふわと浮かされる。頬を撫でてくる白魚の指に魂を抜かれてしまいそうだ。
今日はもうずっとこうしていたい。学校なんて行きたくない。それなのに彼は緩く首を振って、行かないと駄目だよなんて微笑むのだ。
そんなの、頷くしかないじゃないか。けれど、
「赤司くんおはよう!」
「ねえねえ今日は」
「ちょっと今は」
こうなると分かっていたから余計来たくなかったのだ。でも今までのように耐える必要はない。
だって彼は僕の所有物だ。
「汚い手でべたべた触んないでくれる?」
ぱっと腕を落とし、彼の制服を引く。馬鹿な人たちにもわかるように首輪でもつければいいのだろうか、彼が僕のものだと一目で判るような。
「これは僕のだから、勝手に触るのは許さないから」
まあ、僕が捨ててしまった後なら別に構わないんだけど。
rewrite:2021.10.10