望み通りの永遠
ちかちかと明滅する。
ゆっくりだったそれは次第に加速してずっと光っているような錯覚を起こさせる。
まるで使い物にならない頭で思うのは、ただ一つ、僕は彼を何よりも愛しているということだけだ。先が見えるというのは良くもあるだろうし、悪くもあるだろう。
この後、お前はきっと顔を引き攣らせるんだろう。怯えたように唇を戦慄かせて、震えた声で言うんだ。
「お前、おかしいよ」
ほうら、僕は何でもお見通しなんだ。
一歩後退った彼に、分かっていても苦しくなる。あの柔く仄甘い優しさを湛えていた瞳は揺れて次々とその色を落とし、拒絶を示し始めていた。
嗚呼。
「おかしいのは君の方だよ」
血の気の失せた頬に手を伸ばせば、強張る。
嗚呼。
でもそれは何もかも偽りなのだ。僕は何でも、お見通しなんだから。
「僕は至って普通だ」
揺れて安定しない瞳が、狂っていると言いたげに歪んだ。僕がそうだというのなら、彼はどうなのだ?
また一歩、彼が逃れるように僕から離れた。
そして震えた声で、まるで自分に言い聞かせるように山ほどの否定をぶちまけてく。その必死さに笑ってしまいそうだった。
「何をそんなに頑なになる必要があるんだい?」
さっさと受け入れてしまえばいいのに。ぐらぐらと今にも崩れてしまいそうな場所にそれでも佇む、動こうとしない。
ただ自分が怖いだけなのだろう、自分の感情を認められないのだろう、だから立ち止まるのだろう、でもそんなの、許さない。
「駄目だよ」
そんなのはいけない。浅く息を繰り返す彼に銃弾を浴びせて何もかもぶち壊すのだ。
君は覚えているだろうか、僕と初めて会った日のことを。僕は今でも鮮明に思い出せる。あの夢見るような横顔も、煌めく瞳も、感じた素晴らしい未来も、何もかも覚えている。
くるりとそれを手の中で弄ぶ。滴が僅かに散った。
この後、君がどんな顔をするのかも、何を言うのかも分かってしまった。僕は何だってお見通しなのだもの。
だから、力なくしゃがみ込んだ彼の頬に触れて僕は言うのだ。
「愛しているよ」
とね。
rewrite:2021.09.20 | BGM:メロウ / 椎名林檎