またたく間に会いたい
▼ 空条承太郎(四部のすがた)
昔からぬいぐるみとかレースとか花とか、甘くてふわふわとしたものが好きだった。小さい頃は似合うだとか可愛いだとか言われてそういったものに囲まれていても何も言われなかったのに、どんどん成長するに連れて、まるでそれが罪悪であるかのように言われるのだ。
男のくせにそんなのをもって変だ、気持ち悪い。
母だけは一緒に菓子を作ろうと言ったり、レース編みの本を渡してきたり肯定的だった。俺が何を持っていようが、まあ可愛い、と笑うのだ。
その顔を見るたびに俺はどうして母のような女ではないのだろうと思う。母のような女であればレースやフリルのついたものを身に纏おうが、ぬいぐるみを持っていようが何も言われない。きっと年を取ってもそれは変わらないのだ。
それを思うと、どう見ようが男以外のなにものにも見えない自分の体が心底嫌になる。なんだってこんな醜い体をしているのだろう。レースもフリルもリボンも何も似合わない、ぬいぐるみだって似合わないし、可憐な淡い桃色だってちっとも似合いやしない。
だというのに、その人は美しい緑の目を柔らかく細めて微笑んで「よく似合ってる」と言うのだ。
レースのリボンを頭の天辺につけた桃色のふわふわしたイルカのぬいぐるみや、ヒトデと貝殻の刺繍された縁にフリルのついた可愛らしいハンカチを俺へのプレゼントだと言って手渡して「気に入るようなら使ってくれ」と言うのだ。
「承太郎さんには俺が女の子に見えんの?」
またいつものように俺の部屋へやって来て、プレセントだというキラキラしたクラゲやクマノミのピン留めで俺の前髪を纏めていく承太郎さんにぽつんと聞けば、
「見えないが?」
と不思議そうな顔をした。
「こんなの似合わないだろ。俺は可愛くもなんともないんだから」
悲しくなって目を伏せれば、部屋に置かれた承太郎さんからのプレゼントが目に入る。ふわふわできらきらなものたち。「何を言ってるんだ、お前は凄くかわいいぞ」その大きな手で優しく俺の頬を撫でて上向かせながら、ぽっかり胸の真ん中に空いた穴を埋めるように言うのだ。
「俺にはお前が、世界で一番かわいく見える」
rewrite:2022.02.18