神様になるなら君しかいない


▼ レオーネ・警官ッキオ
※マフィアにならないッキオ


まるで神に懺悔するように頭を垂れてはらはら涙を落とし、自らの異常性を語った彼は、俺に目にはあまりにも美しく貴い生き物に見えてしまった。
呆けた顔で彼を見つめる俺はさぞかし滑稽であっただろう。俺はたったの数分の、事情聴取のその一瞬で、悪魔に惑わされるが如く彼に魅せられてしまったのだ。
今日会ったばかりの彼に傅きその身を満たすことだけに己の全てを捧げんと決めてしまうほどに、何もかも奪われてしまった。

大和、遅くなって悪かったな」

もともと腐敗していた組織だ。多少“臭い”がきつくなろうとそうバレることはない。
俺は己の持つもの全てでもって、彼を攫い、匿い、その花びらの唇が色を失わぬよう日々誰かを殺めた。

「おかえりなさい、レオーネ……」
「寝てたのか?髪がくしゃくしゃだぜ」
「うん……」
「ほら、起きろ大和。まだメシ、食べてないだろ?一緒に食おう」

寝起きでぽやんとした顔をしている彼の背を押し、椅子へ座らせる。
昨夜バラしたばかりの肉を彼の食べやすいように切り、皿へと盛り付けて持っていけば、途端、その瞳が憂いに満ちた。
血に濡れた、どこの誰とも知れない人間の肉。彼の微かに震えた手がそっとフォークを握り一欠けら口へと運んだ。滴った血が彼の柔い唇を穢し、染める。
この瞬間の陶酔とも恍惚ともつかない、夢に浮かされたような心地に背筋がぞくぞくと痺れて熱い息が零れた。

「……ごめん、レオーネ、いつも、ごめんなさい」

ぽろ、と瞳から落ちた涙がきらきらと輝く。
己の嗜好を嫌悪し、それでも生きるために肉に歯を立てる彼の苦悩に満ちた顔と、喜びに蕩ける瞳のアンバランスさが毒々しいほど官能的で。
砂糖菓子に群がる蟻のようにふらふらと、泣きながらも肉を食む彼の元へと跪く。

大和、俺は、お前の役に立てていることがとても嬉しいんだ。だから謝らなくていい。それに、俺は謝罪よりも礼の方がほしい、な、大和
「……うん、ありがとう、レオーネ」

またひとつ涙がまろい頬を伝って落ちる。
薄く弧を描いた唇の端からとろりと血が滴った。

rewrite:2022.02.16 | 映画『RAW』視聴記念のアバッキオくんです。