「凄いですね、野茨さんのとこの長谷部さん」
加州と刀を交えるへし切長谷部のその身を包む霊力が動くたびに粒子となりきらきらと飛び散って、幻想的な光景となっている。
あんな輝きになるほどの霊力を注いでいるというのに、野茨さんからはそんな恐ろしいほどの霊力量も圧も感じない。彼を間近で見たこのある者たちが言っていたように、並みよりも少し多い程度の霊力しか感じられないのだ。
野茨さんは突然の俺の言葉にきょとん、と目を丸めている。
「あの~……すごく不躾なことを聞くんですけど」
「なに?」
「俺、霊力が光として視えるんですけど、野茨さんの長谷部さん、凄い輝いてるんですよ」
「おお……?」
野茨さんがきょとんとした顔のまま首を傾げる。黙っていれば冷たく見える整った顔立ちで、へし切長谷部と同じようなカソックに身を包んだ姿はさながら禁欲的な神父といった風情なのに、無垢な幼子のようなその仕草がうっかり胸に刺さった。
う"、と呻いて胸を押さえた俺に傍に控えていた宗三が冷ややかな目を向けてくる。こほんと咳払いをして誤魔化し、
「野茨さんからはトップランカーの方たちのような莫大な霊力は感じられないのに、長谷部さんからは尋常じゃない量の霊力を感じるんですよ。それがどうしてなのかなと思って」
「……よく分かんねえけど、俺の霊力が全部長谷部にいってるからじゃない?」
「全部?」
「俺の刀、長谷部だけだから」
「え!?」
俺だけじゃなく、俺の刀剣たちがみなぎょっと目を剥いて野茨さんを見た。
「ひ、一振りだけなんですか」
「うん、長谷部だけ」
「出陣、大変じゃないんですか」
「俺も一緒に行ってるし、慣れてるから平気」
「えっ」
なんだかすごい言葉が聞こえた気がして聞き返そうとした瞬間、戦闘終了の合図が鳴り響いた。
理解も追い付かない
rewrite:2022.05.09 | 一騎打ちで相手をぼこぼこにする太陽神長谷部くんは審神者たちに密かに恐れられてます