「今日の最後は長谷部か!」
日本号の隣から同じく俺の手元を覗き込んでいた博多が「単騎って珍しいかぁ」と目を輝かせた。
ほとんどの審神者は演練に部隊上限の六振りを連れてくる。単騎とは一振りしか連れていないということで、こういう審神者は大抵情報収集をしに演練へやって来ているのだ。今日の最後の相手も情報収集に参加しているのかもしれない。
しかし長谷部か。単騎の長谷部、というとひそかに噂になっている『太陽神の長谷部』を思い出してしまった。
太陽神の長谷部、とは審神者の中に一定数いる霊力が視える人間(俺も含む)やもともと霊力を視認できる刀剣たちの間で囁かれているもので、字の如く我こそが太陽神なりとばかりに光り輝いて見えるへし切長谷部のことである。
霊力の視え方はみな同じようなもので、光のように視える。霊力が莫大であればあるほど光り輝いて見え、平均的な霊力量だと仄かに光って見えるな、程度だ。
この世界でトップランカーと呼ばれるような歴戦の猛者たちは霊力量も多く、彼らの所持する刀剣たちは俺たちのような視える人間には後光が差していると思うほど輝いて見える。それ以外の俺のような霊力量が並みくらいの審神者の所持する刀剣が仄かに光っているな程度だと考えると、その差は圧倒的だ。
「ねえ、もしかするとこの長谷部って太陽神ってことある?」
「うーん……絶対無いとは限らないかな」
少しソワソワしている加州の問いに答えながら、俺も少しドキドキしてくる。
だって圧倒的霊力量で後光が差してる、なのに、太陽神だぞ。どんだけの霊力量だよ?でも、その所持者である審神者自体は並みより少し多い程度の霊力しか感じなかったっていう話もあるから、謎だ。
「お、主!来たみたいだぜ」
試合会場の門が光り、入室を知らせてくる。
「おああ!?」
両開きのドアが開かれた途端、眩い光が飛び込んできた。
「た、太陽神……」
まさしく、我こそ太陽神なりと言わんばかりに光り輝く何かがドアのところに立っていた。
心の準備が追い付かない
rewrite:2022.05.09 | 太陽神長谷部くんは刀剣たちのひそかな憧れ