透けて消えるまばたき


※赤司くんの双子兄主人公

が瞬きする度にキラキラと星が散って落ちていく。流れ落ちてしまったその星は彼の睫毛が起こした小さな風に乗って僕のところまでやってきて、そうして僕のところに辿り着いた途端、パチンッと弾けて消えてしまうのだ。
と目が合う度、僕はいつもそんなことを思ってしまう。それくらい彼の瞳は綺麗だ。
僕よりもずっと濃いルビーの色をした目はいつもキラキラしていて、それこそ星空のようなのだ。
目は口ほどにものをいうという言葉の通り、彼はその星空にたくさんの感情を浮かべるけれどそれは決して濁ったりせず、真っ直ぐで迷わない。
それが僕には時々眩しく、同時に羨ましくもあった。僕にはきっと一生持てないその目で、僕が見ることの出来ない道を彼は見据えているのだ。だから間違えることがないのだ。

「美味しい?」

目の前で幸せそうにケーキを口へ運ぶにそう尋ねると、彼は柔らかい笑みを浮かべながら頷いた。

「征が作ってくれたからね、とっても美味しい」

煌めく紅がまたたくさんの星を散らし彼を彩る。どうしてこの人はこんなにも綺麗なままなのだろうか。

「征も食べる?」

が甘くほどける砂糖菓子のような笑顔と共にケーキを一口フォークで掬った。
細められた瞳から落ちて飛ばされた星たちが目の前でパチリパチリと弾け、ちかちか瞬くそれが眩しくて目を細める。

「うん、一口もらうおうかな」

曖昧に笑んで口を開けばつるりとフォークが差し込まれた。
そうして口内に放り出されたケーキはどろりとした甘さを振りまきながらも端々に苦みを残して消えていく。彼のように。

「美味しいでしょ」

また落ちる。どんなに多く落ちてしまっても、彼の瞳には無数の星は輝いている。
絶えることのないこの美しい星空を、僕は一体いつまで眺めることが出来るのだろう。彼の見据える先に、あとどれだけ僕は存在していられるのだろうか。

「そうだね」

飲み込んだばかりのケーキの重苦しい甘さが、ゆっくりと纏わりついて自由を奪う。
本当に、彼のようだ。

rewrite:2021.12.14