「あ、炭火焼親子丼だって」
「炭火焼親子丼……?」
「『炭火で焼いた香ばしい鶏肉を贅沢に使用した数量限定親子丼!』らしい。それにする?」
「わざわざ炭で焼いてもらわなくても」
「じゃあいつもの親子丼?」
「うん」
「征十郎って決まったもんしか食わないよな」
「そうか?」
「新しいメニュー挑戦しなくない?」
「わざわざ挑戦しなくても美味しい」
「新たなる美味しさに出会えるかもしんないじゃん」
「出会えない可能性もあるだろ」
「保守的」
「慎重と言え」
「前時代」
「伝統墨守」
「おお~」
「革新派の大和は炭火焼か?」
「ううん、今日は麻婆丼の気分」
「この前火傷したやつ?」
「うん。めちゃめちゃ熱かった」
「今日は気を付けて食べなさい」
「は~い。あ、そういえば征十郎なんか凄い魔法使いだった」
「夢の話?」
「うん。後光差すタイプの征十郎の夢の話」
「どんなタイプだそれ」
「どんなってなんかこう……分かるだろ?」
「いや分からないが」
「え~?ん~、なんか神様っぽい時あるじゃんお前って」
「ないですけど……?」
「あるよ、バスケしてるとき時々そうじゃん。この前の生徒総会の時もそうだったし」
「分からないです……」
「あ、アレだ。全知全能感出してる時」
「ぜん……?まあ、とりあえずどうぞ話してください」
「はい。なんか魔法のようなもんをみんな使える世界っぽくて、それぞれ国か町か分かんないけど魔法使いのリーダーみたいなのを毎年選出してんだよ」
「うん」
「多分一定の年齢になったら全員参加する感じ」
「すごい人数になりそうだな」
「なるなる。でもこう、魔力量的なものの選別からされて、一定に達してなかったら脱落するみたい」
「まあそうしないと終わらないよな」
「で、何をどうしたのか初参加の俺がリーダー候補になっちゃったぽくて」
「ああ、メイン枠感あるからな、お前は」
「あるか~?」
「主人公のライバルか、終盤辺りで仲間になってくれそう」
「それ裏切る奴では」
「諸説あります」
「悪役顔ってこと?」
「顔面で言えば正統派っぽい感じじゃないか」
「征十郎はめちゃくちゃ大事なヒント教えてくれる賢者顔だよ」
「はは、常に高みの見物してる奴だな。続きどうぞ」
「ん。えーと、残ったメンバーで何チームかに分かれて最終決定するための模擬試験?みたいなのするんだけど、ここで征十郎が出てきます」
「はい」
「征十郎は集まった魔法使いたちの中で一番力が強いくて、リーダーの筆頭候補みたいな感じだったよ。すでに後光差してた」
「うーん……」
「試験自体は災害や戦争が起きそうな時にどう対応するか、仮想空間っぽい場所でみんなに観せる、て感じのやつで、俺は征十郎の試験の見学してる。あんま覚えてないけど何かを防がなくちゃいけなくて、みんなにあれこれ征十郎は指示を出している」
「うん」
「そしたらさぁ、日差しが眩しかったみたいで、こう、片手をまっすぐ伸ばして太陽近くの雲をスワイプする感じで動かして日差し遮っちゃうのよ」
「俺が?」
「征十郎が。天候とかを操るのってなんかめちゃくちゃ大変とかで、もう長い間そういうことできる人が現れてないらいくてもうみんなザワザワしまくりだし、偉い人っぽいのは崇めだしてて」
「わあ」
「当然の流れで征十郎がリーダーに決定して、みんながわあ~て拍手したら征十郎がお礼として空にでっけー花火を打ち上げたところで目を覚ましました」
「定番といえば定番の花火だな」
「征十郎は王道顔だからね」
「賢者顔じゃなくて?」
「併用可なんで」
「あはは」

赤司征十郎が魔法使いのリーダーになる夢

2025.06.01