「今日は塩ラーメンとエビチャーハン」
「大盛り?」
「ん~、チャーハンのほう征十郎も食べる?」
「少し」
「じゃあ特盛り」
「え!?」
「え?」
「一口二口くらいでいいんだけど」
「うん」
「特盛りがどれくらいか知ってるか?」
「うん」
「えげつないサイズの丼ぶりだぞ?」
「四限目体育だった」
「なら大丈夫だな。俺はナポリタンにする」
「気に入ったの?」
「もちもち具合が良い」
「昨日副会長と廊下で会ったんだけど、すごい急角度で引き返されてさぁ」
「あ~……」
「俺なんかした?」
大和のことを力で全て解決する蛮族だと思っている」
「な、なんで」
「まあ……傍から見ればそう見えてしまうんだろうな」
「そんなことないですけど!?俺がいつ腕力で解決したんだよ」
「まあ一年のときのごたごたとか、二年の委員会でのごたごたとか」
「それ相手側が全部悪いやつじゃん。俺何にも悪くないやつだろその諸々はよォ」
「そういうところも蛮族的要素だと思われてる」
「どういうとこだよ!」
「俺と田中の初めての会話は、『あの人とどういう付き合いなんだ?脅されているのか?』だった」
「クソ過ぎ。じゃあ期待に応えて次会ったら身ぐるみ剥がしてやるからせいぜい気を付けろって言っといて」
「まあまあ」
「真夏のアスファルト上で土下座するまで許さないから」
「あはは」
「全然違う話していい」
「どうぞ」
「最近地震多かったじゃん」
「ああ、そうだな」
「そのせいかそういう夢みてさ」
「うん」
「でも地震じゃなくて悪魔が暴れてるみたいな感じなんだよ」
「それも嫌だな」
「まあ人間にはどうにも出来ないことには変わんなくて、みんな丈夫な建物とかに避難してて、俺と征十郎も学校に避難してた」
「俺もいるのか」
「まあ俺の夢だからね」
「毎回思うが出席率がすごい」
「んはは、そうかも。で、学校も丈夫っちゃあ丈夫なんだけどおっきい揺れの度にどっか壊れたりしててさ」
「うわ……」
「飲み水ももう無くなりそうだし倒壊の恐れがあるからっていって別の避難場所に移動することになった」
「別のとこも同じような気がするけど」
「俺もそう思う。それで、その別のとこに行くバスが来てるから正面玄関前で待機するようにって教師っぽい人に言われてそこに向かう最中も揺れててさぁ。小さいコンクリート片がぱらぱら降ってくんだよ」
「怖すぎないか?」
「めちゃめちゃ怖かったよ。征十郎はなんかすごい落ち着いてたけど」
「現実の征十郎はそんなことになったら普通に取り乱すぞ」
「そうかぁ?リアル征十郎もそういうとき落ち着いてそうだけど」
「うーん……まあ周りが信じられないくらいパニックになってたら逆に冷静になるかもしれない。大和もそうだろう」
「うん。周りが騒ぐと引いちゃう。ホラー映画もそう」
「映画館ですごい白けた顔してたのは面白かった」
「俺は面白くなかった」
「ふふ、今度からホラー映画は部屋で観よう」
「うん」
「続きどうぞ」
「はい。ん~と、玄関ついたら避難してた人たち皆集まってるから煩くて、俺と征十郎は少し離れた場所に立って待ってた。正面から次々バスとかワゴンとか入って来てて、それに皆どんどん乗ってく」
「うん」
「でも俺は乗りたくない。征十郎も乗っちゃ駄目だって言ってて、そのバスが向かう場所には行っちゃいけないってこっそり玄関から離れてくとこで目が覚めた」
「後味が悪い。行先はどこだったんだろうな」
「悪魔がいるとこじゃない?」
「生贄か。まあ生贄で鎮まることもあるからな」
「鎮まらないこともある」
「まあ悪魔相手だとな」

悪魔のようなものが暴れている夢

2023.03.27