「はい」
「あ、今日は中華定食にする。天津飯食べたい」
「俺はカレーにするよ」
「何カレー?」
「……エビフライカレーかな」
「カレーの匂い嗅ぐと腹減ってなくても腹減るよな」
「そうか?」
「ならねーの?」
「俺はならない」
「えー、ラーメン食べに行った時とかにさぁ、食い終わって帰ろってタイミングで他の客のカレーラーメンの匂い嗅いだら追加注文したくなんない?」
「ならない」
「へえ……」
「なんで俺がおかしいみたいな顔をするんだ。おかしいのはお前の食欲だぞ」
「育ち盛りの食べ盛りだから」
「ああ、この前もセット料理二回頼んだ上にカフェでサンドイッチ食べてたな」
「パストラミビーフって見たらもう食いたくなるだろ。しかもホットサンドでチーズ入ってたんだぞ」
「うーん……今年に入ってから食べる量すごく増えてないか?」
「そう?」
「一年のころは俺と同じくらいしか食べてなかっただろう。休み時間もたまにチョコ食べてるくらいで」
「あー……そうかも?でも健康診断は問題ないから育ち盛りなだけじゃねーの」
「まあなんともないならいいけど」
「へーきへーき。心配してくれてありがと。天津飯いる?」
「うん。エビフライ食べていいぞ」
「えっ!三つしかないのにいいの!?」
「どうぞ」
「じゃあ杏仁豆腐あげる」
「ありがとう」
「カレー食うといっつもあのネパール人がやってるカレー食べたくなる」
「あの定期的にナン配布巡回してるとこか」
「んふふ、そう定期巡回してるとこ。美味いよなあそこ」
「行ったことない」
「え、行ったこと無かったっけ?」
「無いな。大和から定期的に行った報告はされるけど」
「まじか。行こーぜ。ナンの種類がすごいあるから征十郎も通うことになると思う」
「ふふ、そうなのか」
「メンバーカード作ろうぜ。割引になるし」
「分かった。楽しみにしてる」
「楽しみにしてて。カレー屋の中では一番おすすめの店だから。あ、でさ、夢の話していい?」
「ああ、どうぞ」
「征十郎が烏天狗で俺がそのお嫁さんで、山の頂上にある屋敷に二人で住んでる」
「うん」
「そこに時々天使が来る」
「異文化交流だな」
「そう。その来る天使もきちんと階級があるみたいで一番下が天使、一番上が大天使、でその間にも何個か階級があるって感じ」
「うん」
「階級があがるごとに装備が変わる」
「装備?服装じゃなくて?」
「装備なんだよ。一番下の天使は、両手の甲にあの……創痕?聖痕?キリストの手にあるやつあんじゃん」
「釘で打たれた痕の?」
「それ。それがあって、絵画によくあるシーツみたいなの来てて鏃が石の弓が武器」
「うん」
「大天使になると色んな模様の入った手甲してて、鎧来てて武器が銃とかになる」
「物騒だな。ほんとに天使か?」
「まあ天使も戦争とかいろいろあるらしい。その天使たちとたまに話すくらいでほとんどずーっと征十郎と二人ぼっち生活してた」
「ふーん……」
「征十郎はなんか烏天狗だからとかなんとかでサトリみたいな力があるんだけど、分かってるくせに時々何考えてるんだ?てわざわざ聞いてきてさぁ」
「うん」
「まあ俺は征十郎のことしか考えてないから、征十郎のことだよ(ハートたくさん)て言うと満足げに笑うんだよ」
「……」
「可愛いよな。束縛強めで重めの征十郎も可愛くて好きだなってしみじみ思った」
「……もう黙ってくれ」
「あはは!」
赤司征十郎が烏天狗だった夢
2023.03.10