「あ~痛い……」
「口内炎?」
「今朝飲んだコーンスープで出来た火傷」
「火傷あるのに担々麺を食べるのか」
「麺食べたかったんだよ。俺も冷やし中華にしとくべきだった」
「交換するか?」
「征十郎優しい~!さすがスパダリ京都代表~!」
「すぱだり」
「スーパーダーリンの略。完璧な彼氏のことだな」
「まあ大和の介護に関しては完璧だな」
「世話って言って」
「水零れるぞ」
「ん、あぶね」
「……」
「なんだよ」
「何も言ってない」
「顔が言ってる」
「ごめんごめん、ほらはやく食べろ」
「ん。……沁みない。美味しい」
「良かったな」
「征十郎さぁ、中学の時修学旅行ってどこ行ったの」
「京都だよ」
「あ、俺んとこも。今日夢で修学旅行に行ったんだよ」
「中学の?」
「多分そう。中学ん時のクラスメイトとかいたし。でも征十郎もいた」
「俺の登場頻度高くないか」
「それはほら、俺征十郎のこと大好きだから」
「……」
「俺いっつも征十郎のこと考えてるから夢にも出てきちゃうんじゃない?」
「……」
「照れてんの」
「……うるさい」
「可愛いかよ」
「続き」
「んはは、えーと、場所は多分奈良とか京都辺りだと思うんだけど、母さんにお土産で金色の仏像買って来てって頼まれてて買うんだけど」
「お土産に?」
「そうお土産に。七福神のぽよぽよした笑ってる神様みたいなやつ」
「……布袋尊か?」
「そんなようなやつ。胡坐かいたタイプの仏像で、風神雷神みたいな輪っかが背中の方についてて見た目よりも結構重い。それをちゃんと持ってたはずなのにバスん中で無くすんだよ。気付いたら無くなってて、まあでも車内で無くしてるからそのうち出てくるだろうと思ってたら」
「うん」
「どっかでタクシーだかバスだかの事故が起きて、運転手がその仏像抱えてんの。お腹んとこに守るみたいにして」
「怖い」
「で、その仏像、腹部から下が壊れて無くなってんの」
「上半身しかないのか」
「そう。でも顔も無いんだよ。顔の部分が丸くへこんでる」
「うわ」
「それを警察みたいな人に渡されて持って帰るように言われた」
「怖い夢の話か?」
「ちょっと怖かった夢の話だな。俺もそれは持ってたくなくて、帰りの電車に乗る駅に着いた時に持っててくれって近くにいたクラスメイトに渡してた。それから電車がどこに来るのか見てくるっていって別行動とってた」
「うん」
「駅の中はデパートとかもくっついてて通路があちこちぐねぐねに繋がってるし、階段も上がったり下がったりうねってて何がどこに繋がってるのか全然分かんないんだよ。とりあえず看板表示の通りに改札まで行こうと思って看板捜したら駅構内図みたいなやつの前に征十郎が居て」
「ああ、そういえばいるって言ってたな」
「やっと出番だぞ。で、征十郎がこっちだって俺のこと案内してくれるんだよ」
「それは本当に俺か?大丈夫か?」
「あはは、大丈夫大丈夫、ちゃんと征十郎だったよ。案内通りに三又路とかも抜けて歩いてったらこう……〆の字みたいな階段らしきものがあって」
「ええ……?」
「立体的な〆の字みたいなやつ。こう……なんかこう……ぐねってなってて……」
「あ~……なんとなく分かった」
「手すりがないからバランス崩したら落ちて死ぬ」
「死ぬのか」
「多分。下が真っ暗でよく見えなかったから死ぬと思う。そこを落ちないように気を付けながら下りたら狭い通路があって、そこをまたどんどん下に進んで行ったら急に開けた場所に出て、目の前に改札が見えた」
「おお」
「改札の向こうに電車が来てるのが見えて、それに乗れば帰れるって分かるんだ。でもクラスメイトたちも誰も来てない。俺も征十郎も切符を持ってたからそのまま一緒に乗りました」
「乗って問題ないい電車だったか」
「めちゃめちゃ疑うじゃん」
「信用できる要素がひとつもない」
「あはは、大丈夫、ちゃんと学校帰れたから」
「良かった」
「学校帰ったところで目覚めた」
「そうか。部屋の中に仏像は無かったか」
「なんでそういうこと聞くんだよ、ねーよ」
「ベッドの下やクローゼットの中も見たか」
「すごい確認するじゃん」
「泊りに行った時にうっかり俺が見つけてしまうと怖い」
「あはは、夢の話だから大丈夫だって」
大和が見た夢だから安心できない」
「俺のことなんだと思ってんの?」
「チタンかアルミ合金……」
「それ実は気に入ってる?」

赤司征十郎と修学旅行に行った夢

2023.02.13